運転手は走行時以外でも命がけである。

運送会社というものは、非常に弱い立場なのである。
その中でも、運転手の立場はさらに弱いのである。

地球温暖化という言葉が一般的になってから20年以上経つが、
時代の流れを感じたのがちょうどトラック乗り始めて3年位の時かな。
それまでは、朝エンジンを始動したら、荷物の積み下ろしのとき以外はエンジン掛けっぱなしで「夏は涼しく・冬は暖かく」業務が出来ていたわけや。

しかし、地球温暖化やリサイクル等の環境問題に対する関心が高まるにつれ、運送会社よりも先に、荷主(企業)が対策を迫られたんや。

今でも、企業というのは率先して 環境基準・品質基準として ISO○○○○を取得しているが、当時はISO14001という環境に関する認定を受けるのが流行ってたような気がする。

環境基準の認定を受けるためには、ゴミの減量・リサイクル・節電etcなんてあるが、運転手に一番堪えたのは、「温室効果ガスの削減」というもの、つまりは、「無駄なアイドリングをするな」ということ。

「無駄なアイドリング」というのは、積み込みの順番待ちのように、走行時以外にアイドリングをすることを指すのだが、日本という国は春夏秋冬がある。

過ごしやすい季節ならば、エンジンを停止してても快適に過ごせるが、特に夏は堪らんかった、真夏にエンジンを切って数分もすれば、蒸し風呂状態になるのは当然のことなのだが、そんなことを運転手に求めてきたのである。しかも、荷物の積み込み待ちなんていうのは、酷い現場では6時間待ちなんてのもザラである。
現場によっては、受付だけ済まして敷地外でエンジン掛けて電話が鳴るのを待つなんてことも可能である。しかし、受付をしてトラックで順番に並ばないといけない現場やと最悪なのである。前のトラックが進んだら自分のトラックも前に進まなけばならないから、暑くてもトラックから離れられないのです。

当然、真夏は毎年のように数人は泡を吹いて救急車に運ばれていた。

そんなことが続くと数年後に、さすがに企業側も8月限定で待機時のアイドリングを許可したりと対策をとっていた覚えがある。

しかし、「無駄なアイドリングをしない=燃料代の節約」と気づいた運送会社がこれを利用しない手はないので、デジタコという減点方式の運航記録システムが出てきて、例えばアイドリング5分以上で減点となり、ひと月に3回減点がたまると給料に響くなんてことをやってた会社もある。

運転手というものは、走行時以外も命がけであるというのがお分かりいただけたと思います。

スポンサーリンク